2022.04.07
物流センターと倉庫。双方の違いを明確に把握できているでしょうか。この記事では、物流センターの役割や種類のほか、倉庫との違いなどについて解説しています。自社の物流業務に課題を感じている方は、ぜひご覧いただき、課題解決のヒントとしてお役立てください。
目次
物流センターでは、商品の「入荷」「保管」「ピッキング」「流通加工」「検品」「包装・梱包」「出荷」を行っています。商品の保管だけでなく、入荷して出荷するまでの作業を一手に引き受けているのが物流センターです。
物流センターの利用の仕方は大きく分けて、自社運営と他社委託の2つです。自社の場合は、物流センターを設立して運営します。場所や人員の確保も自社リソースで行うため、製品に合った物流センターを構築できるのが利点です。しかし、センターの設立やシステム開発の社員教育などの初期コストが過多になることがあります。
一方、他社の物流センターを利用(業務委託)する場合、委託先の物流センターを使用するため物理的・人的なリソースを割かなくて良いメリットがあります。しかし、委託先によってはできないサービスがあるといったデメリットもあるため、対応内容が自社に合っているかを多数の物流会社の中から選ばなくてはいけません。
物流センターでは、どのように業務が行われているのでしょうか。以下の物流センターで行われる「入荷」「保管」「ピッキング」「流通加工」「検品」「包装・梱包」「出荷」の7つの工程ごとに説明します。
仕入先や工場などから届いた商品を荷受けし、確認するのが入荷業務です。届いた商品に誤りや故障、欠品などがないか、数量に差異がないかなどを確認し、問題がなければ在庫に加えます。問題がある場合は、仕入先へ連絡して対応を指示します。
入荷した商品の出荷オーダーが入るまでは、倉庫内で保管します。保管状態が悪いと商品が劣化してしまうため、温度や湿度などの環境を整えておく必要があるでしょう。また、日々入荷と出荷を繰り返す中で、商品がどこにあるのかロケーション管理も保管業務の一環です。
出荷オーダーが入ったら、倉庫内で必要な商品を集めます。どこに何があるかをきちんと把握できていないと、ピッキング作業に時間がかかってしまうので管理が必要です。また、商品を棚から取り出しやすいかどうかも作業に影響します。
ピッキングには摘み取り方式と種まき方式があります。摘み取り方式は受注先ごとに商品を1つずつ取り出す方式で、逆に種まき方式はまとめて取り出した商品を受注先別に仕分ける方式です。
生産から販売までの一連の流れの中で、必要な加工業務を行う工程です。例えば、販売用の商品タグの取り付け、セット商品として売るための詰め合わせ、箱に入った製品をハンガー掛けにするなどさまざまな作業があります。
中身や個数、送り先に誤りがないように確認した後、届け先に荷物を出荷する工程です。梱包された商品をトラックに積む際は、倒れたりしないよう注意を払います。出荷後にミスが発覚すると信用を落とすことにつながるので、最終チェックが行える出荷作業は重要な工程です。
<役割や機能の違いによる種類>
DCは商品の保管業務を含んでいる物流センターを指します。在庫を一定数確保しておく必要がある場合は、DCの利用が必要となります。 出荷するときに、すぐ商品を手配できるのが特徴的です。
日本語では、流通加工・在庫型センターと言います。準工場化された機能を持つ物流センターで、商品の加工も行えます。精肉加工場や食品工場、組立工場などに物流センターの機能が備わっているものとイメージすると良いでしょう。商品の保管・管理なども行える高度なセンターです。
PCはPDCと同様に流通加工機能を備えた物流センター。PDCと比較し、PCは商品の管理・保管を行わないという違いがあります。ただ、PDCと同義で使われることもあるため、どちらか判断がつかないときは物流会社に問い合わせて、機能を確認するようにしましょう。
EC・通信販売の業界向けに様々な機能を提供する物流センター。フルフィルメントとあるように、顧客からの発注から発送、在庫管理、顧客対応までを包括的に対応するのが特徴です。
<立地の違いによる種類>
生産立地型は、生産場所の近くに配置されている物流センターです。生産場所と保管・出荷が行える場所が近いことで、配送コストが抑えられるメリットがあります。生鮮食品加工や建築部材、アパレルメーカーなどに多い形態です。
仕入れ数よりも販売数のほうが多い・配送までの時間に制限があるといった場合に取られるのが消費立地型の物流センターです。配送先までの距離を物理的に縮めることで、リードタイムの短縮を図っています。また、足の速い生鮮食品を店舗に届けたいといった場合にも有用です。顧客の配送ニーズにこたえやすいメリットがあります。
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物流センターは、商品の入荷から出荷までのバックヤード業務を一括で行うという役割があります。仕入先から入荷し、注文が入るまでは保管します。注文があればピッキングして流通加工を施し、検品して梱包・包装して出荷。一連の業務を行えるのが強みです。また、多くの荷物を取り扱うことから、物流センターには出入り口が多い特徴があります。荷物を積み下ろしたり、荷受けしたりする頻度が高いことから、導線やスペースが必要になるためです。
物流センターは、自社運営する方法と、他社に委託する方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自社にとってはどちらが物流業務をしやすいかで選びましょう。また、現状の課題のみではなく、将来的な物流業務で生じそうな課題も視野に入れて選択すると、中長期にわたって安定した物流業務が行えます。
物流センターを自社で構える場合のメリットとデメリットについて紹介します。
■メリット
・自社に最適化された物流システムを構築できる
・難易度の高い流通加工を行うなど、柔軟な設計が可能
・物流の管理運営に関するノウハウが蓄積できる
■デメリット
・初期投資費用と人的コストがかかる
・センターを借りる、建てるところから始めるため立ち上げに時間を要する
・倉庫や保管用の設備、作業用の器具などもすべて用意する必要がある
・物流センターの管理運営する専門人材を育成しなければならない
・事業規模によっては、コア業務に集中できなくなる可能性がある
・人件費や配送トラックの維持費など、ランニングコストが固定費化してしまう
他社に業務委託(アウトソーシング)する場合のメリットとデメリットについて紹介します。
■メリット
・物流センター運用にかかるコストを変動費化できる
・初期投資費用を大幅に抑えられる
・商品開発や販売などのコア業務に人員・時間などの資源を集中できる
・物流会社のノウハウを活かした物流の効率化や物流品質の向上に期待できる
「事業の成長スピードをあげたい」、「物流の専門的な人材がいない」という場合は、物流会社へ相談してみることをおすすめします。
■デメリット
・利用コストがかかる
・委託先を変更した際に倉庫の場所が変わる
・他社に依頼するため物流に関するノウハウが自社に蓄積しにく
・事業規模によっては、コア業務に集中できなくなる可能性がある
物流業務を外部委託(アウトソーシング)する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
サービスが豊富にある中で、自社に合った委託先を探すために押さえておきましょう。ミスマッチがあると、業務にも支障が出てしまいますから、委託先選びは慎重に行ってください。
現在アウトソーシングを利用しておらず、新規に委託先を探す場合のポイントは、以下の通りです。
●コスト以外に業務の範囲や倉庫の立地等をチェックする
業務委託に必要な初期投資費用はもちろんですが、何をどこまで対応してくれるのかサービス内容も細かに確認しましょう。いろいろなケースを想定して、委託予定先に問い合わせてください。また、倉庫の立地は自社にとってメリットのあるエリアにあるかも重要です。入荷先や工場から近いほうが良い、届け先に近いほうが良いなど、自社の要望に合う物流センターを保有しているかチェックしましょう。
●アウトソーシング先を実際に見学してみる
センターの規模感や導線、立地状況は実際に目で見ておくことをおすすめします。口頭での説明や資料写真では気づけないポイントが見えてくるはずです。浮かんだ疑問は委託先の担当者に聞いて解消しておきましょう。
●営業担当者との打合せ・ヒアリングを通じて、担当者が信頼できるか確認する
どれだけコストなどの条件が良くても、担当者に信頼がおけない場合の契約は控えましょう。伝えたことが伝わっていない、質問に対して的外れな回答をする、時間を守らない、といった不安要素を抱えたまま、大切な商品を預けることはできません。運用が始まってしまえば、自社だけでなくお客様にも悪影響を及ぼすリスクがあるためです。信頼できると思えるまで、密にやり取りをして関係性を築きましょう。
業務委託先を見直す理由に、委託先の管理不足があります。指定した通りに荷物が届かない・検品が不十分など、バックヤード業務に問題があるにもかかわらず、介入して改善することができなかったケースです。そうなると、クレーム対応に追われてしまい業務に支障をきたします。
委託先を見直す際には、トラブル時の責任の所在を前もって明確にしておいてから依頼しましょう。また、定期的にミーティングを行い、委託先の作業内容を確認することも大切です。確認するのは、依頼通りに運営できているのか・想定コストから乖離していないか・商品の品質は保たれているか・クレームの内容と対応についてなどです。
見直すきっかけはコスト面も理由かもしれませんが、対応面で感じた不満や不安も解消できるような契約内容にするのがポイントです。