2022.03.18
物流とは、単に商品を届けるための手段だけを指すものではありません。物流には計6つの機能があり、これらの機能が合わさることで、はじめて消費者へモノが届きます。
ここでは物流を構成する6つの機能をはじめ、「流通」や「商流」との違い、効果的な物流をするための「ロジスティクス」について解説します。
物流とは、簡単にいうとモノや商品が消費者のもとへ届けられるまでの一連の流れを指します。商品を運搬することだけを指す用語ではなく、商品の保管や加工、包装といった過程も「物流」に含まれるのがポイントです。 また日用品や建材、アパレル系のアイテムなど取り扱う商品によって最適な運搬方法や保管方法は大きく異なります。
従って物流会社を選ぶ際は、「どのような商品の取り扱い実績があるのか」や「どのような商材の扱いを得意としているのか」という点に注目することが大切です。
▶大和物流では、建築建材や小売業、卸売業などさまざまな業態に合わせた物流サポートを行っています。
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物流と混同されやすいのが「流通」や「商流」です。両者の違いをわかりやすくまとめると、以下の通りとなります。
流通 |
契約や決済などの取引を含めたモノの流れを指します。 |
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商流 |
売買取引のことを指し、「商的流通」「取引流通」とも呼ばれています。 |
輸配送 |
配送車や船、航空機などによってモノを運搬する工程。物流の中心機能の1つです。 |
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保管 |
モノを倉庫にて保管する工程を指します。モノの品質や数量の管理・保存を一定期間中行います。 |
荷役 |
車や船、航空機などにモノを積み込む工程です。 |
包装・梱包 |
容器や梱包材でモノを収納し、品質保護や維持を行う工程です。 |
流通加工 |
モノを消費者のもとへ流通させるため、ラッピングや箱詰め、ラベル貼りなどを行う工程を指します。 |
情報システム |
専用システムを活用し、モノの流れを適切に管理する工程です。 |
物流には6つの機能のほか、以下、5つの領域区分があります。
「調達物流」をはじめとした物流の5つの領域を、以下で解説します。
調達物流とは、原材料や部品を調達先から仕入れ、自社の生産工場まで運ぶ流れのことだと考えると良いでしょう。商品・商材を製造するための原材料を調達したうえで移動させる(物流)領域のことです。 調達物流にかかる物流費は、商品の全体価格に含まれているケースが一般的です。このケースは「みなし物流費」と呼ばれ、日本ではよく知られている契約形態の1つ。一方、アメリカやヨーロッパでは調達物流費用と商品価格が別枠とされているケースが多くみられます。
本社から工場へ、工場から支社へなど、自社内での物流活動を生産物流と呼びます。調達物流と販売物流の間に位置する領域であり、具体的な作業内容としては資材のピッキングや原材料在庫の保管、荷役作業、完成した商品の梱包作業などが含まれます。また、検品や出荷作業も生産物流の領域に含まれています。
販売物流は、完成した商品を販売するために移動させる物流領域のことです。製造業者から卸売業者、卸売業者から小売店、小売店から消費者などの各フェーズも、この販売物流の領域に含まれます。近年では「販売物流の頻度は高いものの、配送する物品の量は比較的少なめ」というパターンが多くみられるようになっています。 わかりやすい例が、コンビニエンスストアを対象とした販売物流です。コンビニはバックヤードが狭く、一度に多くの商品を保管することが難しいという特徴があります。よって一度に多くの商品を配送するのではなく、複数回に分けて商品を配送する販売物流が展開されているのです。
家電やガラス瓶、古紙などは、リサイクルを経て再資源化されます。この廃品を再資源化するための物流活動を、「回収物流」と呼びます。モノが製造されてから消費までの流れは、人間の循環器の機能にたとえて「動脈物流」と称されることがあります。これに対し、回収物流は役目を終えたモノ(包装や容器など含む)が回収・再資源化されることから「静脈物流」と称されます。
引っ越し業や宅配業、トランクルームやレンタルスペース貸し出しなど、一般の消費者を顧客とした物流領域を指します。身近な通販やECなどの業態も、この消費者物流に含まれています。近年は個人間で取引を行うフリーマーケットアプリの登場に伴い、消費者物流はより身近になってきています。
ECサービスが普及し、物流業界の市場規模は今後も拡大していくことが見込まれます。その一方で、物流業界はさまざまな課題も抱えています。
課題① 人材不足
物流業界では人材不足が問題視されています。特に、ドライバー不足は深刻で、現役で活躍するベテランドライバーの平均年齢も高齢化してきています。その結果、ベテランドライバーの退職後に次の世代のドライバーが集まらないことも予測できるのです。
課題② 競争激化による負担増
近年は、ECサービスの普及により配送品質の競争が激しくなっています。特に顕著なのが、配送スピードの競争の激化です。即日配送や翌日配送は、消費者側から見れば大きな魅力である一方、ドライバーにとっては大きな負担になります。 加えて、ECサービスの普及に伴い、個人宅へ配送する「小口配送」の機会も増えています。小口配送は、企業や店舗を対象とする「大口配送」よりも多くの人材が必要となります。その結果、ドライバーの労働環境悪化や人材不足がさらに深刻化する悪循環に陥ってしまうのです。
物流業界の課題に大きくかかわってくるのが、「2024年問題」です。これは2024年に施行予定の「配送ドライバーの時間外労働の上限を月45時間、年960時間に制限する」という関連法により、物流業界に生じる諸問題の呼称です。
ドライバーの労働時間に上限が規定されることにより、企業の利益減少やドライバーの離職率上昇や収入減などの問題が発生する可能性が考えられます。
▶2024年問題については、以下のページでより具体的に解説しています。
2024年問題とは?トラックドライバーの不足は共同配送で解決?物流の課題と展望
物流業界の課題解決に不可欠なのが、「ロジスティクス」と呼ばれる戦略です。ロジスティクスを用いることで、原材料の調達から生産、配送までの全体の流れを客観的に把握でき、物流の効率化を図れます。次の章で、物流とロジスティクスの関係性を具体的に紹介します。
「ロジスティクス」とは、事業課題の解決を目指して行う物流戦略・物流対策のことを指します。または、原材料の調達から商品の生産・販売・回収に至るまでのプロセスを一元的に管理することを指す用語でもあります。生産から回収までの各フローを一元的に管理することにより、「課題解決のためには、どのような物流戦略が必要か」といった点を把握しやすくなります。物流がモノを配送したり保管したりといった「受け身の機能」を指すのに対し、ロジスティクスには「課題解決に向けて物流戦略を練る」という広義かつ能動的なニュアンスが含まれているのが特徴です。
ロジスティクスを活用することで、市場ニーズやトレンドの変化にいち早く対応できるようになります。加えて、欠品や不良在庫の減少にもつなげられるでしょう。
ITシステムの構築や物流アウトソーシングサービスの導入など、物流の最適化に成功した事例をいくつか紹介します。こうした成功事例は、ロジスティクスを用いて物流戦略を練ったからこその事例だといえるのです。
この事例では、自社倉庫や事務所でアンテナ工事に使用する資材を管理していました。しかし、こうしたアナログ管理では資材管理をはじめ現場への資材の輸送手配や荷受け対応などの業務負担が重く、コア業務に注力できないという課題を抱えていたといいます。 そこで、専用の在庫管理ITシステムの導入と、自社運営物流センターのアウトソーシング化を決定。これにより在庫管理や現場配送機能などが確立され、資材配送の一元化に成功しています。その結果、管理の煩雑さや物品の紛失といったトラブルが減少し、業務負担が軽減されたと報告されています。
北海道に物流拠点を持つ、アパレル小売業の事例です。関東からの注文が多く、物流拠点と出荷先が物理的に大きく離れており、配送料の負担が大きくなっていました。そこで北海道内ではなく宮城県へ物流センターを新規に設置し、配送コストを軽減。同時に、新規物流センターの運営をアウトソーシング化したことで、北海道に事業の基盤を置きつつ、配送コスト・運営コストの実現に成功しています。
▶これらの事例は、あくまで一部です。
大和物流で取り扱った成功事例の詳細は、以下のページで紹介しています。ぜひご参照ください。
物流事例
「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)」は、簡単にいうと物流部門を第三者企業へ委託する業務形態のことを指します。3PLでは原材料の調達から生産物流、販売物流や回収物流など一連の流れを、第三者企業へ委託するのが一般的です。これにより、物流部門にかかるコストを大幅にカットできるのが魅力です。
▶3PLについては、こちらの用語集で詳しく説明しています
物流業界はモノをただ運搬するだけでなく、さまざまな業界との関係性で成り立っています。物流センターのアウトソーシング化や3PLによる物流部門の運営など、関連するサービス内容も多様化しているのです。物流を最適化するためには、ロジスティクス的な発想を持つことが不可欠であるといえます。物流のアウトソーシング化や3PLの活用は、そのための選択肢です。特に3PLを活用することで、物流コストの削減や品質改善が期待できるでしょう。
▶大和物流は、さまざまな業界の物流改善に携わっています。具体的な事例は、こちらの物流事例からご覧いただけます。
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