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役立ちコラム

売上拡大につながる!ECバックヤードを見直す3つのポイント

2017.06.16

EC市場規模が拡大傾向にある一方で、競合会社の増加、再配達問題や人手不足による宅配サービスの見直しなど、EC市場を取り巻く環境は厳しくなってきています。

今回は、「売上拡大」をテーマに、ECのバックヤードを見直すポイントをご紹介します。

「売上を拡大したいが、なにから取り組めばよいのかわからない」
「広告や販促に色々な手を打っているが、なかなか成果につながらない」

このような課題をお持ちの方にお読みいただければと思います。

売上拡大のためにバックヤードが重要な理由

“売上拡大”に向けた取り組みとしては、商品による差別化、広告など、いわゆるフロント業務に注力していることが多いことと思いますが、まずはじめに、「なぜ売上拡大のためにバックヤード業務の整備が重要なのか?」という点から、確認したいと思います。

下記のグラフは、経済産業省が平成25年9月に公表した「平成24年度 電子商取引に関する市場調査」のEC利用者の実態調査における、「EC利用上の不安・不便」に関する実態調査のデータです。(N=1,906、調査年度=2012年度)

【EC利用上の不安・不満に関する調査結果】


(経済産業省「2012年 電子商取引に関する市場調査-図表8.2-23国内外EC利用時の不安・不便(2012)」の日本に関するデータを基に当社作成)

この調査結果から、消費者の多くはECサイトを利用する際に、「このサイトで購入しても大丈夫か?」という不安を持ちながら利用するサイトを選んでおり、その不安の多くはバックヤードに関する項目であるということがわかります。(赤色で表示したものが、バックヤードに関するもの)

EC利用者は、欲しい商品を自社のサイトで見つけたとしても、「このサイトで購入しても大丈夫か?」という信用審査に通らなければ利用しません。
そして、信用審査の項目としては、バックヤードに関する項目の比重が非常に重いので、バックヤードを整備することは、売上拡大のためにとても重要だということです。

バックヤード業務見直しの3つのポイント

では、バックヤードを見直すことで、売上拡大にどのようにつなげていくのか、見直し時に抑えておくべきポイントを3つご紹介します。

①入荷~サイトアップ(販売開始)までのリードタイム

1つ目のポイントは、商品の入荷から、販売開始までのリードタイムです。

新しい商品を仕入れても、商品情報をサイトに登録し、販売を開始しなければ売上にはつながりません。

商品が入荷してから販売開始するまでのリードタイムが何日もかかっている場合は、物流センターを多機能化し、「ささげ業務:撮影、採寸、原稿作成」を統合することでリードタイム短縮が可能です。

物流センターなどの商品入荷場所に撮影スタジオ機能を保有することで、商品が入荷してから、撮影スタジオに商品を移動する横持ち輸送プロセスが不要になるため、輸送日数分のリードタイムが短縮されるだけでなく、横持ち輸送コストの削減、撮影手配などにかかる段取りの簡素化など、コスト削減、業務負担軽減などの効果も得られます。


(大和物流 千葉NT物流センター内の撮影ブース)

また、撮影機能に限らず、例えばアパレル製品の検査、補修、加工などの機能を物流センター統合することで、返品商品を再販するまでのリードタイムを短縮することも可能です。

特に、アパレルなどの季節商品、トレンドが短サイクルで回っている商材を扱う場合は、シーズンを過ぎると資産価値が著しく低下してしまうので、価値が高いうちに売り切る仕組みを構築するために、商品仕入れ~販売開始、返品~再販などの各プロセスにかかっているリードタイムを短縮することが重要です。

②出荷リードタイム

2つ目のポイントは、受注・決済の確定から、出荷するまでのリードタイムです。

消費者がなにか商品を探すとき、
「週末にバーベキューで使う備品を探している」
「金曜日のデートで着る服が欲しい」
など、消費の目的に合わせて商品を選び、購入します。

「安いから買っておく」というセールのようなケースを除けば、目的に合わせて最適な買い方を選択していますので、「希望の日時までに商品を受け取ることができるか?」という点が重要になってきます。

どこよりも安い値段で販売していたとしても、目的に合わせて商品を探している消費者にとっては、値段よりも「このショップで購入した場合、いつまでに商品が届くのか?」がわからないと、自社のサイトを選んでくれることはありません。

ポイントは、“午前中までに注文・決済が完了した注文については、当日中に出荷する。”という出荷リードタイムを設定し、それを担保できる作業体制を構築すること。
そのうえで、出荷リードタイムをサイト利用者に対してわかりやすく明示することです。

自社で出荷作業を行っている場合など、曜日ごとの出荷量の波動などに対応する人員体制の構築が難しいときは、複数のサイトのバックヤードを運営している物流会社にアウトソーシングすることで、出荷波動に対応することが可能です。

注文・決済が完了してから、出荷が完了するまでのリードタイムは、短いほど顧客に選ばれるチャンスは広がりますが、サービスレベルを高く設定すると出荷作業にかかるコストアップにもつながる可能性があります。

コストを度外視した過度なリードタイム競争に陥るのではなく、適切なサービスレベルを設定し、最終的に利益の最大化を目指せる戦略的な視点を持つことが重要です。

③在庫管理/情報管理の仕組み

3つ目のポイントは、在庫管理です。

自社にある商品は、その在庫を正確に把握し、販売用在庫としてサイトに在庫登録しなければ、販売機会を逃してしまいますし、正しい在庫管理ができていなければ、在庫数よりも多く注文を受け付けてしまうなどのミスも起こります。

また、実在庫のロケーション管理(倉庫のどの棚のどの位置に保管されているか)を正しく管理できていなければ、商品の出荷作業時に商品を探す行為が発生し、生産性の低下や誤出荷が生じる原因ともなります。

ECサイトの評価は、製品の価格や品質だけでなく、顧客対応や配送など購買の前後に伴うサービスを含めた一連の買い物体験全体で評価されるため、出荷作業の品質がショップの価値に直接つながると言っても過言ではありません。

実際に、楽天のショップレビューでは、評価項目6つのうち2つが物流に関する項目となっています。

【楽天のショップレビュー項目(2017年6月時点)】
・品揃え・情報量・決済方法・スタッフの応対・梱包・配送

誤出荷、出荷遅延、販売機会ロス、過受注などの業務ミスが発生している場合は、WMS(倉庫管理システム)を使って各種在庫情報をバーコード管理する仕組みを導入するなど、実在庫の管理方法を見直して、バックヤードの業務品質の向上を図るべきです。

まとめ

今回は、売上の拡大に向けてECバックヤードの見直しの重要性とそのポイントについてまとめました。

マーケティング用語に、「1:5の法則」というものがあります。
これは、新規顧客に対する販売コストは、既存顧客の5倍かかる傾向があるといわれているものです。

EC事業においても、「顧客のリピーター化」は非常に重要なポイントです。

前述のとおり、EC利用者は、
「頼んだ商品が希望する日時までに届くか」
「配送時に商品が破損しないか」
「間違った商品が届かないか」
など、ECの配送サービスに対して不安を抱いている人が一定数います。

そして、自社サイトの新規顧客が、リピーター化してくれるかどうかは、商品を注文してから商品を受け取るまでのバックヤード業務の評価が大きく影響します。

つまり、バックヤード業務の仕組みを強化することが、ショップの信頼を構築し、顧客のリピーター化につながる最も重要な施策であると言えます。

自社ECの売上拡大に向けて、フロント業務ばかりに注力している場合は、是非、バックヤード業務の見直しを行ってみてください。