1. TOP
  2. 物流事例・お役立ち情報
  3. 役立ちコラム
  4. スマホ時代に避けては通れない!オムニチャネル対応3つのキーワード

役立ちコラム

スマホ時代に避けては通れない!オムニチャネル対応3つのキーワード

2017.07.28

「オムニチャネル」は、2011年にアメリカで注目されはじめたマーケティング用語で、「オムニチャネル・リテーリング(Omni-Channel Retailing)」とも呼ばれます。

 

今回は、スマホ時代において、アパレル・雑貨などの流通・小売業界で経営戦略の基本概念になりつつあるオムニチャネルの概念の解説と、オムニチャネル化への対応について、3つのキーワードを軸にポイントをご紹介いたします。

 

オムニチャネルとは

 

 

オムニチャネルとは、企業が保有するすべてのチャネルを活用し、お客様にとって便利で快適な購買体験を提供することで、自社の商品・サービスを顧客に選ばれる事を目指す取り組み(戦略・仕組み)をいいます。

顧客との接点(チャネル)を増やすマルチチャネル、O2Oなどのチャネル交差を促すクロスチャネルに対して、オムニチャネルは全てのチャネルをシームレスに統合し、チャネル間の弊害がない購買体験を提供することを志向するものです。

 

経済産業省では、2015年版と2016年版の「電子商取引に関する市場調査報告書」において、オムニチャネルを次のように定義しています。

“オムニ(omni)“とは日本語で”すべて、あまねく“という意味を持つ。消費者が商品の購入に至る過程において、実店舗、PCサイト、モバイルサイト(スマートフォン)、ソーシャルメディア、従来型メディア(新聞・雑誌・TV)、カタログ、DM等、あらゆる販売チャネル・情報流通チャネルを経由する時代となっている。 オムニチャネルとは、消費者がこれらの複数のチャネルを縦横どのように経由してもスムーズに情報を入手でき購買へと至ることができるための、小売事業者によるチャネル横断型の戦略やその概念、および実現のための仕組みを指す。

なぜ、オムニチャネル化が進んでいるのか?

日本では、2014年が「オムニチャネル元年」と言われていますが、なぜ「オムニチャネル」に注目が集まり始めたのでしょうか?

 

その背景には、スマートフォンの普及があります。

 

スマホが普及するまでは、インターネットで価格比較を行う場合も、「自宅のPCで値段の相場を事前に調べておいて、店舗で購入する」といった行動パターンが主流でした。

しかし、現在の消費者は、「店舗で商品を見ながら、スマホで価格比較」、「店舗で商品を確認しながら、ECで注文」といったように、“ながら”の購買行動がスマホによって可能になったため、より便利で賢い買い物をするようになりました。

 

つまり、スマホを使って、いつでもどこでも(店舗のなかでも)ネットにつながることができるようになり、便利に賢く買い物するようになったことで、ショッピングスタイル(購買プロセス)がスマホを中心に変化し、1つのチャネルで(例えば店舗だけで)すべての購買プロセスを終えるケースが少なくなってきたことが、オムニチャネル化の要因といえます。

オムニチャネル化への対応、3つのキーワード

オムニチャネル化への対応に関する課題はさまざまですが、重要なものは、次の3つのキーワードに絞られます。

  • IT
  • ロジスティクス
  • 組織・評価

この3つのキーワード別に課題を整理すると、次のとおりとなります。

①IT

・在庫情報の一元化とリアルタイム化

・顧客情報の一元化

 

②ロジスティクス

・必要なモノを必要な場所に適切なコストで移動する(例えば店舗間移動や店舗在庫のEC出荷)仕組み整備

・物流センターの最適化

 

③組織・評価

・経営戦略としてのオムニチャネルの考え方を全社員へ浸透(意識改革)

・社内のチャネル間の調整を担う組織横断型部門の設置(組織改革)

・社内の評価制度に「ECサイトへの貢献・理解(例えばECで売れても店舗を評価する仕組み)」を組み込む(制度改革)

 

オムニチャネル化への対応は、「消費者にとって快適な購買体験を提供し、顧客に選ばれる、スマホ時代に適応したリテール事業環境を構築すること」と言えますので、フロントサイドのチャネルを増やすというマルチチャネルの延長の考え方ではなく、バックサイドの仕組みを構築し、チャネル間の連携を強化することが重要です。

まとめ

オムニチャネル時代においては、顧客は、より便利で、より快適な買い物体験・環境を求めていますので、顧客が必要とする情報やモノを、必要なチャネルに、必要なタイミングで提供するために、①ITシステムと②ロジスティクスシステムの仕組みづくりが、オムニチャネル化への対応の取り組みの柱となります。

さらに、経営戦略としてオムニチャネル展開を実践し、成果につなげていくためには、社員の理解、人材の適材適所の配置、評価制度の見直しなどの③組織・評価を整備することも、成功要因の1つとなります。

オムニチャネルという言葉が認知されはじめて3年以上が経過しましたが、オムニチャネル化への対応においては、各事業者が試行錯誤を続けている状態で、まだまだ多くのハードルがあるかと思います。

しかし、オムニチャネルは、スマホの普及によるショッピングスタイルの変化によって生み出された新しい概念であり、単なる流行・トレンドではありません。

そして、スマホによって既に変化した消費者のショッピングスタイルは、将来にわたって、今より多様に変化していくことは間違いないでしょう。

小売事業者向けのトレンドワードとして片づけることなく、メーカーも含めた各事業者が、オムニチャネル時代への対応を求められています。