物流用語として使用される「縦持ち」について、解説しています。
(よみ:たてもち)
縦持ちとは
縦持ちとは、ビル等の建物内で上下階間で貨物を移動させる輸送のことをいいます。「縦持ち輸送」ともいいます。
下図のように、ビル等の建物内へ貨物を納品する場合、トラックから当該建物内の納品先フロアまでエレベーター等を使用して貨物を搬送しますが、このトラックから建物内の目的フロアまでの縦方向の輸送のことを意味します。
【縦持ちのイメージ図】
縦持ちに関する問題
納品先の施設の特性によって、縦持ちに関する問題があり、運送会社の生産性の低下を招いています。
・(特にオフィス街などにおいて)十分な駐車スペースが確保されていない施設が多く、近隣道路における路上駐車や、駐車スペースの待機などが発生する。
・入館手続きが必要な施設が多いため、納品時間がかかる。
・物流専用の導線がないケースが多いため、他の施設利用者との接触事故などを起こさない安全な作業が求められる。
課題解決の方法
これらの問題の解決を図るため、各領域でさまざまな取り組みが広がっています。
・運送会社:近距離エリアを自転車やカートで配送するため、配送センターをオフィス街に高密度に設置
・ビル管理者:自動走行ロボットを活用して縦持ちの自動化や、館内物流の導入
例えば、森ビル株式会社では、ZMPが開発する「CarriRo Delivery(キャリロ・デリバリー)」という自動走行宅配ロボットを活用した縦持ちの自動化の実証実験を、六本木ヒルズで2017年から開始しています。
また、国土交通省は、一定の物流量が発生する建築物において、人の流れだけでなく、モノの流れも考慮した設計“Design for Logistics”を推奨し、交通や環境への影響の抑制を図っています。